不妊症について先生にインタビュー
二人目不妊について
- ハピネスバースクリニック
院長 横江 保彦先生
http://www.happiness-bc.com/
二人目不妊の定義を教えてください。
一人目を産んで1年後から数えて1年間妊娠しなければ、二人目不妊ということになります。
3人目不妊という方はあんまりいないですね。
経済的にも3人目不妊に挑むのは厳しいという現実もあります。
本当はね、日本の未来を考えたときに1人でも多くの赤ちゃんを産んでほしいな、という気持ちはあるんですがね。
1人っ子だと、お子さんが大きくなって物心がついたときに、心を許して相談できる相手がいないでしょう。
だから2人目まではどんどん頑張ってもらいたいなぁという気持ちがありますね。
一人目を自然妊娠されても、二人目不妊になる方がいらっしゃいます。
これはどうしてでしょうか。
原因として3つ考えられます。順番にみていきましょう。
- 原因で一番多いのは母乳ですね。1人目を産んでからなかなか妊娠しない。
これは授乳期にホルモン値が高くなって母乳に含まれるプロラクチンの分泌が多くなるからです。
二人目不妊の半分くらいがプロラクチンによるものだと考えられます。
ホルモン値が高いとお薬を出して、ホルモン値を低くする。するとすっと妊娠される方がいます。
お母さんの体が一人目のお子さんを育てるための体になっていて、二人目のお子さんを受け入れる準備がまだ整っていないんですね。
- 子どもを産んだ後、男性の性欲が落ちる、つまりセックスレスも原因の一つでしょうね。
草食系男子なんて言葉も最近はありますが、積極的な性交渉の回数も減っていることが考えられます。
女性が社会的に地位を確立してきて、「仕事が楽しい!結婚・出産はまだ!」という女性が増えてきたでしょう。
そういうハツラツとした女性を前に男性が結婚に消極的になってしまう面もあります。
だから結婚に至るまでには男性の経済力も大切ですね。
女性も社会で活躍する方がどんどん増えてきて、そうすると一人でいる方がよいと考える女性も増えてきます。
最近は一概には言えませんが、出産の前にはパートナーとの婚姻関係がやはり前提ですから、まずは互いに認め合って結婚生活を送れるパートナーと早く一緒になってもらうことを望みますね。
女性が35歳をすぎると卵子の質が落ち、不妊症の原因となることはよく知られていますが、実は男性も40歳を超えると、精子の奇形率が増えるという報告がされています。
また女性の方も40歳を超えるとダウン症児が生まれる可能性が高くなるので40歳までをめどに治療をしてほしいと思います。
やっぱり元気な赤ちゃん産んでほしいですからね。
それに40代になるとお母さんの体への負担も増えますから。
- あとは、1人目の出産の後、内膜が薄くなる方もいるんですね。
内膜が薄くなる原因はよくわかっていません。
しかし内膜が薄くなって2人目不妊になる方もたくさんいらっしゃいます。
2人目不妊の方の精神的な負担はどのようなものでしょうか。
2人目不妊の方は1人目不妊の方より精神的には安定している方が多いような気がしますね。
治療に入れ込みすぎて、それが心の負担になってストレスになり、妊娠しにくい状況を作り出しているということもありますが、2人目不妊の方は割とまだそこのバランスが上手にとれている方が多いと思います。
お子さんがお1人いらっしゃるからでしょうね。
それでもやはり2人目のお子さんを強く希望される方はもちろんいます。
治療に頑なになりすぎている場合はご本人の様子を見て、
一度治療を休ませます。
そうすると気持ちが楽になって自然と妊娠するケースもあります。
あとは周りのプレッシャーですね。
「次のお子さんはまだ?」という周りの何気ない言葉が患者さまの心に突き刺さっています。特にご高齢の方はあいさつ代わりにそういうことをおっしゃりますから。
全然悪気はないんですがね、とても傷つきますよね。
最後に不妊治療に励まれる方へメッセージをお願いします。
あんまり焦らずに続ければ必ず妊娠します。焦ってはだめです。
どうしても妊娠しない場合もありますが、90パーセントは何らかの形で妊娠しますから、焦らずに治療に励んでください。
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